ホモゲナイザーを通過する際、牛乳の滴はどういう状態になるのでしょうか? 具体的には、滴はどのように破壊されるのでしょうか、そして正確にはどこで破壊が発生するのでしょうか?
テトラパックのシニアエクスパートであり、ルンド大学の食品エンジニアリング準教授でもあるFredrik Inningsによる革新的な研究で、ホモゲナイザーの中核であるこの重要なプロセスについて興味深い結論が引き出されました。
動画「テトラパックホモゲナイザーの魔法」を視聴し、以下でその研究論文の抜粋をお読みください。
効果的な均質化を支える秘密は何でしょうか? これは、小さな間隙で大きな違いがどのように生まれるかについて短くまとめた動画です。興味深い内容です。ホモゲナイザーの性能がそれによってどう変わるかについてBert-Oveが説明しています。ご覧ください。
効果的な均質化を支える秘密は何でしょうか? これは、小さな間隙で大きな違いがどのように生まれるかについて短くまとめた動画です。興味深い内容です。ホモゲナイザーの性能がそれによってどう変わるかについてBert-Oveが説明しています。ご覧ください。
抜粋:高圧ホモゲナイザー内での水滴崩壊
このプロジェクト全体の目的は牛乳のホモゲナイザーにおける水滴崩壊を調査することでした。間隙領域の流動場に関して測定と計算を行い、また水滴の崩壊の様子を視覚化して、これを行いました。
視覚化と測定を可能にするため、ホモゲナイザーの間隙が異なる2つのスケールモデルを開発しました。実寸大のモデルは生産規模のホモゲナイザーの間隙を直接コピーしたもので、追加で光学アクセスを付けました。通常の操業用均質化圧力をテストでき、水滴は直径5 µmの小さいものまで視覚化できました。
2番目のモデルは約100倍拡大し、関連する無次元グループが一定に保たれるようにして、同じ要因が水滴崩壊プロセスに適用されるようにしました。拡大モデルは透明プラスチック製で、速度場の測定と水滴の視覚化の両方に使用されました。
こうした測定から、水滴は間隙の入り口で破壊されるという結論に至りました。大きい水滴はある程度引き伸ばされ、小さいの水滴は球状を維持していました。間隙自体では、特に変化はありませんでした。生産規模のホモゲナイザーでは、速度分布は間隙全体で一様です。
パイロット規模のホモゲナイザーでは、境界層は時間をかけて成長するため、速度分布は間隙の出口にほぼ集まっています。せん断層が増えると水滴への効果は限定されるようです。間隙を通過する間、小さい水滴の場合は球状に戻る時間がありますが、大きいものになると、入ってくるときとほぼ同じアスペクト比で間隙を出ます。
この調査では、水滴崩壊は間隙の出口部分の乱流噴流内で発生することが判明しています。流速測定から、非常に不安定な噴流は自由液体内の噴流よりも速く崩壊することがわかりました。間隙の出口にある室の形状により、噴流は角度45度の壁に接着するか、側面噴流になります。
噴流内の乱流は非常に大きく、乱流強度は50~100 %になります。間隙の高さと同じサイズか、それよりも少し低いサイズの流動構造の強度は非常に高いことを示す兆候が確認されました。水滴の変形実験と理論解析から、水滴が破壊される渦は、水滴よりもかなり大きいものから少しだけ小さいものまで、サイズが異なることが判明しています。大きい渦は、渦によって生まれる速度勾配で水滴の粘性を低めます。小さい渦は、流体慣性によって水滴を変形させます。
水滴崩壊プロセスの重要な様相は初期変形です。水滴が3~5のアスペクト比で変形すると、その水滴は非常に素早く引き伸ばされて1つ以上の繊維状のものになります。この繊維状のものは、多数の小さい水滴に崩壊する前に、曲がった状態、らせん状に巻いた状態、さらに変形した状態になることがあります。
研究論文の全文については、登録してPDF版をダウンロードしてください。「Drop Break-up in High-Pressure Homogenisers」(高圧ホモゲナイザー内での水滴崩壊):
均質化は、乳製品でのクリームラインや沈殿の防止に加え、クリームや果汁ベースの飲料の粘性、風味、質感の改善、豆乳の口当たりの改善、そしてヨーグルトでのホエーの分離の防止などの目的で使用されます。